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ベルナルト・ハイティンク 指揮
■発売日:2025年6月28日
■品番:ESSD-90307
■仕様:CD/SACDハイブリッド
■JAN:4907034225842
■レーベル:DECCA(旧 Philips)
■音源提供:ユニバーサルミュージック合同会社
■ジャンル:交響曲
■DSD Mastering
■Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ
■美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用
晩年のハイティンクがウィーン・フィルと作り上げた完熟のブルックナー・サウンド。
世界初リマスター&Super Audio CD ハイブリッド化が実現。
■20 世紀後半~21 世紀の指揮界を牽引したオランダの静かな巨匠
2019 年 9 月、ウィーン・フィルとのルツェルン音楽祭におけるブルックナー交響曲第 7 番の演奏を最後に 90 歳で指揮活動から引退し、2 年後に亡くなったベルナルト・ハイティンク(1929-2021)。ヴァイオリニストとしてスタートし、フェルディナント・ライトナーに指揮を師事後、1955 年にオランダ放送フィルの次席指揮者、1957年より首席指揮者に就任して指揮者としてのキャリアをスタートさせたハイティンクが国際的な注目を大きく浴びたのは、1961 年、わずか 32 歳で名門アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者に任じられた時のこと。就任当初こそ補佐役としてヨッフムが支えたものの、ハイティンクは 1988 年まで 28 年間にわたって同団と活動し、オランダを代表する存在から世界有数のアンサンブルへと育て上げました。ロンドン・フィル(1967~79 年)、英国ロイヤル・オペラ(1987~2002 年)、ボストン響、シュターツカペレ・ドレスデン、シカゴ響など、世界的なオーケストラやオペラのポストを歴任し、20 世紀後半から文字通り指揮界を牽引した活動を60 年以上にわたって続けた名指揮者でした。
■若きハイティンクのディスクでの名声を決定づけたブルックナー解釈
ハイティンクで特徴的なのは、指揮活動と並行して行われた広範な録音活動でしょう。1959 年、コンセルトヘボウ管就任前に同団と録音したベートーヴェンの交響曲第8 番とメンデルスゾーンの交響曲第4 番以降、第2 次大戦後のオランダの新興レーベル、フィリップスにハイドンから武満徹に至る膨大なディスコグラフィを築き上げました。オランダ随一の楽団の録音をオランダ随一のレーベルが後押しするのは自然なことで、折しもステレオという新しい技術による新しいカタログが渇望される状況の中で、若いハイティンクは名門楽団と次々にスタンダード・レパートリーの録音を発表し、その名を世界的に知られるようになりました。中でも特に高い評価を得たのが 1960 年代から録音を開始し 1970 年代初頭に完成させた後期ロマン派の 2大作曲家であるブルックナー(1963~72 年)とマーラー(1962~71 年)の交響曲全集でした。前者はヨッフムの DG 盤に次いでステレオ録音史上2 組目となったものですが、第0 番を含む単一オーケストラの録音としては初の全集であり、後者はバーンスタインの CBS 盤、クーベリックのDG盤に続く史上3組目の全集となり、折しもステレオの再生システムの一般家庭への普及と並行して、ディスクにおけるブルックナーとマーラーの大家としてのハイティンクのアーティスト・イメージを大きく向上させることになりました。ベートーヴェンやブラームスの交響曲全集よりも先にブルックナーとマーラーを録音するという点もそれまでの指揮者とは異なる、いわば当時の若手世代ならではの斬新なフィリップス・レーベルのレパートリー・ポリシーを喧伝することになりました。
■CD 時代にスタートしたウィーン・フィルとのブルックナー録音の集大成
細部をゆるがせにしない緻密で真摯なハイティンクの音楽性は、マーラー以上にブルックナーの作品との強い親和性を示し、それもあってかハイティンクは年月を経るに従って再録音を重ねていきます。アナログ後期~デジタル初期にはコンセルトヘボウ管と第 7~9 番の後期 3 曲を再録音しそのスケール大きな円熟ぶりを示しています。さらに 1985 年からはオーケストラをウィーン・フィルに替えての再録音に乗り出し、「全集録音」という触れ込みでまず第 4 番、1988 年に第 3 番と第 5 番という中期の 3 曲を続々録音し、旧録音以上にブルックナー作品の本質に深く入り込む名演を刻んでいます。そしてそのあと 7 年ものブレイクを経て録音されたのが、今回当シリーズで初めてハイブリッド化される 1995 年の交響曲第 8 番なのです。1 月 10 日~13 日の 4 日間をかけた(おそらくリハーサルも兼ねたと思われる)録音セッションで収録され、その直後に2回の定期演奏会を行い、さらにリンツ、パリ、ロンドン、トゥールーズへのツアーでも披露しています。ライヴ収録ではなく、じっくりとセッションを組んで収録してから演奏会を行うという流れは、現在ではなかなか実現できない贅沢な収録体制であり、フィリップス側の意気込みを感じさせます。結局この録音を最後にフィリップスでのウィーン・フィルとのブルックナー全集は継続しませんでしたが、ハイティンク自身はこの後もウィーン・フィルでブルックナーの交響曲をたびたび演奏しており、第8 番については 1998 年、2002 年、2015 年にも取り上げています。
■今では希少なハース校訂の旧全集版を使った自然体の魅力
1980 年代以降ウィーン・フィルはジュリーニ、カラヤン(当シリーズでディスク化)、ハイティンク、ブーレーズ、ティーレマンという 5 人の指揮者でブルックナーの交響曲第 8 番を録音しています。その中でもこのハイティンク盤は実に自然体で、指揮者の恣意的な解釈なしにブルックナー音楽の魅力に浸りきることができる演奏です。ウィーン・フィルは温かみのあるサウンドでハイティンクの指揮に応え、オーボエやクラリネットをはじめとする個性的な音色を持つ木管楽器、名物ともいえる濃厚なウィンナ・ホルンの吹奏、華美になりすぎないものの厚みのある弦楽パートなど、ウィーン・フィルというオーケストラの特質を極限まで堪能いただけます。テンポも遅からず早からず、適正な歩みで丁寧にブルックナーのオーケストレーションの魅力の扉を開けていくかのようです。ブルックナーの交響曲では使用される版や稿が話題になりますが、基本的に旧全集支持派だったハイティンクは、この第 8 番も1939 年に出版されたロベルト・ハース校訂の第 2 稿を使っています。ハースの独断による改変ゆえに作曲者による改訂工程にはない稿態となったため 21 世紀の現在ではあまり顧みられなくなった校訂譜ですが、20 世紀中盤までのブルックナーのイメージを体現化したような移行パッセージ(ハースの創作)はノーヴァク校訂版にはない独自の魅力で、その意味でも歴史的価値を持つ録音と称せましょう。
交響曲 第 8 番 ハ短調
Symphony No. 8 in C minor
ハース版 ・ Edition: Robert Haas
1. 第 1 楽章: Allegro moderato
2. 第 2 楽章: Scherzo (Allegro moderato)
3. 第 3 楽章: Adagio (Feierlich langsam, doch nicht schleppend)
4. 第 4 楽章: Finale (Feierlich, nicht schnell)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 Wiener Philharmoniker
指揮: ベルナルト・ハイティンク Conducted by Bernard Haitin
[録音] 1995 年 1 月 10 日~13 日、ウィーン、ムジークフェライン、グロッサーザール
[海外盤初出] Philips 446 659-2 (2 枚組)(1995 年)
[日本盤初出] Philips PHCP3493~4(2 枚組) (1997 年 1 月 25 日)
[オリジナル・レコーディング]
[アーティスツ&レパートワー・プロダクション]コスタ・ピラヴァッキ、ヘルミーネ・スターリンガ
[レコーディング・プロデューサー、バランス・エンジニア]フォルカー・シュトラウス
[レコーディング・エンジニア]セース・ヘイコープ、ティース・ヘクストラ、ウィレム・ヴァン・レーウエン、シュテファン・レ ー
[テープ・エディター]エーヴェルト・メンティング
[Super Audio CD プロデューサー] 大間知基彰(エソテリック・マスタリング・センター)
[Super Audio CD アソシエイト・プロデューサー] 吉田穣(エソテリック・マスタリング・センター)
[Super Audio CD リマスタリング・エンジニア] 東野真哉(エソテリック・マスタリング・センター)
[Super Audio CD リマスター] 2025 年 2 月 エソテリック・オーディオルーム、「Esoteric Mastering」システム
[解説] 浅里公三 増田良介
[企画・販売] ティアック株式会社
[企画・協力] 東京電化株式会社