シンプルな回路構成で送信管211を力強く励振。
大型直熱管が生きたスケール感に精密描写が加わる

●コンセプト
　真空管アンプブランド「カトレア」を主宰する小池儀治氏は、『管球王国』の「マイ・ハンディクラフト」記事で専用ブランド「山中湖」シリーズを展開し、ハンドメイドの魅力溢れるアンプを送り出しています。「春の祭典」は奥行きと広がりのある音を求めた大型直熱管211アンプです。出力管211は追従型のノイズキャンセル回路を使って交流点火。安定性も重視したシンプルな2段増幅回路、無帰還設計で、出力12W＋12Wにまとめています。電源投入時のレギュレーター兼遅延回路などロングライフにも配慮した設計です。

●回路と使用パーツ
　前段は6SL7によるSRPP回路で、カソードチョークコイルを組み込んで高出力化が図られ、出力管211をゆとりを持って励振します。カソードチョークコイルはオリエントコア採用のゼネラルトランス製です。前段と出力段はドイツEROのヴィンテージ・フィルムコンデンサーでC結合。電源回路は前段と出力段を独立させ、前段B電圧も半導体レギュレーター経由で供給しています。電源／出力トランスなど天板上のトランス類はハンマートーン仕上げのISO製です。出力トランスもオリエントコア採用で、30Wコアサイズを使って低域再生の余裕を目指しました。

●音質について
　「春の祭典」は大型直熱管211の魅力を引き出してスケール感に富む音を聴かせます。大型モニタースピーカーのB＆W 801D4 Signatureとの組合せで解像感に優れて純度の高い音を聴かせ、最新録音のジャズではトランペットの輝かしい音色を明敏にエネルギッシュに描き出しました。精密な描写性能を持つアンプです。

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