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オーディオ史に燦然と輝く名機
JBLオリンパスへのオマージュ

精巧なミニチュアを身近に飾る愉悦

　見た瞬間、「オリンパスじゃないか！見事だ」。ミニチュアの極み、ここにあり。気品あるデザインそのままに。これは欲しい。あの時と同じように心が疼いた。

　ＪＢＬオリンパス。このスピーカーとの出会いは35年ほど前になります。当時懇意にしていたオーディオショップから勤務先に「程度の良いオリンパスが入りました。聴きにきませんか」との電話が入りました。その時の私は、３ウエイのブックシェルフから待望の4ウエイのスタジオモニターに買い替えて長いローンを組んだばかり。「無理だよ」と電話を切ったものの、どうにも気持ちを抑えきれず、すぐに店に向かいました。普段なら「居間に置けるかどうかを検討し、女房の了解を得たうえで連絡します」と告げたはずです。しかし、オリンパスはそんなことを言っていられないほど、わたしに決断を迫りました。「ワタシを買わないと生涯後悔しますよ」と。もちろん、即、決断です。

　この出会いが、20数年後に私に「ジャズ喫茶」を始めさせるのです。しかも店名まで…。

　ＪＢＬオリンパスは、１９６０年代のアメリカ製品です。今は絶えて久しい家具調のデザイン。同じ家電でも冷蔵庫、洗濯機や電気釜などと違い、リビングで最も良い位置に置かれるのが、オーディオ装置です。おのずとつねに視野に入り、長い時間眺めていましたが、オリンパスは何かと調和したがっているデザインだなと感じます。例えば自宅のリビングでは、天板に家族の写真などの装飾品を置かせて、他の家具と調和し心地良い空間を創ります。

　オリンパスが我が家に来てから、明らかに変わったことがあります。深夜に帰宅しリビングに入ると、灯りも点けないのに何かの気配を感じるのです。灯りを点けて先ず視線がいくのがオリンパス、です。人の気配に近いものを感じるのです。そして天板にそっと触れてみます。何かを愛でるという事はこういう事なのでしょうか。

　それは自宅に限りません。どこに置かれても、その場にいる人を気持ちよくさせるのです。わがオリンパスは、リビングからジャズ喫茶に場所を移すことになり、新装開店の内装デザインを導きました。さて、当店「ジャズ オリンパス！」の空間は、いかがでしょうか。

　忠実に縮小されたオリンパス。これなら、入手するために誰かさんと交渉するなど、数々の難題を解決し、リビングに鎮座させることができます。素晴らしくデザインされたスピーカーから奏でられる音楽とともに、潤いのある生活を送りましょう。そして愛妻家の私としては、左右のスピーカーの真ん中に「新婚旅行」の記念写真を置くことでしょう。これ、ホントですよ！