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シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ、シューマン:幻想小曲集/民謡風の5つの小品 (SACD/CD) ESSD-90201


ミッシャ・マイスキー(チェロ)
マルタ・アリゲリッチ(ピアノ)

■発売日:2019年6月20日
■品番:ESSD-90201
■仕様:Super Audio CD ハイブリッド
■JAN:4907034222766
■レーベル:DECCA
■音源提供:ユニバーサルミュージック合同会社
■ジャンル::室内楽曲

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マイスキーの西側での名声を決定づけた84年の「アルペジオーネ」、世界初 Super Audio CD化。


■苦労人マイスキー
 ミッシャ・マイスキーは1948年、旧ソ連のラトヴィア生まれのチェリスト。キリストを思わせる風貌、ステージ衣装も通常の燕尾服ではなくイッセイ・ミヤケを愛用し、極めてロマンティックで熱い音楽を聴き手に届ける音楽家として、70歳を過ぎた現在も第一線で活躍しています。1965年の全ソ音楽コンクール1位、66年のチャイコフスキー・コンクール6位となり、ロストロポーヴィチに才能を認められながらも、ユダヤ系ロシア人であったがゆえに反体制的人物とみなされ約2年間の強制労働を余儀なくされました。1972年になってようやく出国許可が下り、アメリカに渡ってピアティゴルスキーに師事し、翌73年のカサド国際コンクールで1位となってようやく国際的な注目を集め、74年にはマールボロ音楽祭に参加、76年にはロンドン・デビューを飾るなど、世界的な演奏活動を開始したのです。

■マイスキーを国際的なスターダムに押し上げた「アルペジオーネ」
 マイスキーのソロ・デビュー盤は1981年にアルゲリッチとEMIに録音したフランクとドビュッシーのチェロ・ソナタで、同時期にロンドン・シンフォニエッタとの共演でハイドンのチェロ協奏曲をリコルディに録音しています。しかし真の意味でマイスキーの名を世界の音楽ファンに轟かせたのは、1982年ドイツ・グラモフォン録音のバーンスタイン/ウィーン・フィル、クレーメルと共演したブラームスの二重協奏曲と、この84年フィリップス録音の「アルペジオーネ・ソナタ」の2枚でした。前者はバーンスタインの濃密な音楽作りの中で切れ味鋭いクレーメルの個性を受け止めるような包容力ある演奏が心を打ち、後者はマイスキーの本領である深いロマンティシズムの世界を臆することなく表現し尽くし、ロストロポーヴィチ以来長らく音楽界に欠けていた骨太のロマン派チェリストの登場を強く印象付けたのです。そしてこの84年以降、バッハの無伴奏全曲を皮切りに、ドイツ・グラモフォンと専属契約を結んだマイスキーは、続々と新しいアルバムを発表、チェロの主要レパートリーのみならず、世界的なベストセラーとなった「ララバイ」「アダージョ」「チェリッシモ」などコンセプト・アルバムも手掛け、その人気は今も衰えを知りません。

■アルゲリッチと極めたロマン派の神髄
 「アルペジオーネ・ソナタ」では、第1楽章冒頭の主題から遅めのテンポでたっぷりとチェロを歌わせ、シューベルトの歌心の深さを体感させてくれます。自らの感情をたっぷり盛り込み、主情的に連綿と歌い続けるその演奏スタイルは、同世代のヨーヨー・マらの爽快かつ健康的なチェロとは対照的で、「あたかも19世紀のチェリストが現代風に洗練された感覚を身につけて私たちの前に蘇ってきたかのような」とさえ評されたほどです。しかしその溢れんばかりのロマンティシズムを空虚なものとしないのがマイスキーの高い音楽性で、人生の「切なさ」を身をもって体験してきた彼ならではの人間性が滲み出ているのです。さらにピアノのアルゲリッチがそうしたマイスキーの音楽性に全面的な共感を寄せ、ぴったりと寄り添い、あるいは自らリードしていくかのような共演ぶりも見事で、「幻想小曲集」のフィナーレでの情熱の迸りや、「民謡風の小品」における各曲のキャラクタリゼーションの鮮やかな描き分けなど、この二人が作品に盛り込まれたロマンティックな感情の移ろいをこれ以上ないほどに実在の音としていくさまが生々しく記録されています。

■最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現
 このアルバムの録音はスイス北西部、ジュラ山脈の麓のフランス国境近くに位置する小さな町ラ・ショー=ド=フォンにあるサル・ド・ムジーク(音楽ホール)で行われました。ここは1955年に開館した約1,200席を擁する室内楽向けのホールで、1962年にはアメリカの建築士レオ・ルロイ・バラネクが「ホールのどこに座っていても、ステージ上で針が落ちる音さえ聴こえる」と評し、世界で最も優れたホールの一つにあげているほどです。1960年代から主にフィリップスが録音用に使い始め、イ・ムジチ、イタリア弦楽四重奏団、グリュミオー、シェリング、ヘブラー、ホリガー、アラウらの名盤・名録音を通じて、レコード・ファンには「名録音の代名詞」としてお馴染みの会場です。プロデュースを手掛けたのはフィリップスのフォルカー・シュトラウス(1936-2002)。録音会場の床を一度踏みしめるだけでその会場が録音に適するかどうかを見極められる耳の持ち主で、同レーベルでハイティンク、マリナー、コリン・デイヴィスなどの600枚近くのアルバムを制作した伝説のプロデューサーです。チェロとその後ろに置かれたピアノを大きめの音像で明晰に収録しつつ、静寂が保たれたホール内にしっとりとした情感を漂わせるサウンド作りは名手ならでは。もともとが優秀なデジタル録音であったためこれまでリマスターされることはなく、今回が初めてのDSDリマスタリングとなります。今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、これまで同様、使用するマスターテープの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。特にDSDマスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整された ESOTERIC の最高級機材を投入、またMEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。

■「強烈な個性を持つ 2 人の演奏家による、他の追随を許さない素晴らしいアンサンブル」
「強烈な個性を持つ2人の演奏家の組み合わせによって、楽しめる要素を多く含んだ演奏。マイスキーは進境著しく、実にロマンティックな歌いぶりを見せている。「アルペジオーネ」ではどちらかといえばアルゲリッチがリードしている感のあることは否めないが、激しい自己主張を示す一方で、優しく包み込むような暖かさものぞかせている。シューマンの魅力的な小品2曲は、ロマンティシズムが全面に出されながらも、やはり個性的で興味深い演奏である。」

(『クラシック・レコード・ブック VOL.5 室内楽曲編』、1980年)



「ソ連出身のマイスキーは、チャイコフスキー・コンクールで入賞し、ロストロポーヴィチに師事した。そのテクニックは素晴らしく、しかも細かい心づかいが行き渡っている。「アルペジオーネ」では全体をリードしているのはアルゲリッチで、開始部などまことに大胆。シューマンではふたりのロマン的情熱が一致している。」

(『クラシックCDカタログ89』、1989年)



「当意即妙のアンサンブルを聴かせる。マイスキーは、この柔軟な感性と溢れるような歌心で、かなり大きなテンポの伸縮や大胆なディナーミクの変化を付けているが、それを決して恣意と感じさせないのはさすがだ。この演奏の訴求力が強いのは、彼のシューベルトに対する思いの深さが、この作品の深みのある抒情を見事に掬い上げているからである。しかもその淀むことのない見事なテクニックがそれをしっかりと支えている。アルゲリッチはこの作品の性格上、いつもに比べれば控えで前面に立つことはないが、随所に即興性あふれる躍動や敏感な反応を見せ、味わい深い共演を果たしている。」

(『クラシック不滅の名盤800』、1997年)



「強烈な個性を持つ2人の演奏家は、相変わらず他の追随を許さない素晴らしいアンサンブルでファンを楽しませてくれる。どちらかといえばアルゲリッチがリードしている感は否めないが、自己を主張する一方で、マイスキーを引き立てるような暖かい仕草も見せており、シューマンの2作にも優しいロマンティシズムが強く押し出されている。」

(『クラシック不滅の名盤1000』、2007年)



「マイスキーが西側で活躍し始めて間もないころにアルゲリッチと録音したこのアルバムは、彼の西側でのチェリストとしての存在感を一気に高めた。アルゲリッチの高揚感に満ちた刺激的で鮮烈な音楽が、シューベルトの音楽にかつてない新鮮さをもたらしているが、マイスキーはその音楽に的確に対峙しながらも、自らの少し翳りを帯びた情感を一杯に湛えた音楽を遺憾なく発揮して、独自のロマン的世界を生み出している。シューマンの方は、アルゲリッチが得意とする作曲家だけにより濃密な音楽が奏でられているが、マイスキーもここでは互角に対峙して非常に緊張感と切れ込みの鋭い音楽を奏で、スリリングな味わいにあふれる演奏を実現している。」

(『最新版クラシック不滅の名盤1000』、2018年)




[収録曲]
フランツ・シューベルト (1797-1828)
アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D.821
[1] 第1楽章 アレグロ・モデラート
[2] 第2楽章 アダージョ
[3] 第3楽章 アレグレット

ロベルト・シューマン(1810-1856)
幻想小曲集 作品 73
[4] 第1曲 やさしく、表現をもって
[5] 第2曲 生き生きと、軽く
[6] 第3曲 急いで、炎のように

民謡風の5つの小品 作品 102
[7] 第1曲 ユーモアをもって
[8] 第2曲 ゆっくりと
[9] 第3曲 早くなく、たっぷりとした音で演奏して
[10] 第4曲 急がずに
[11] 第5曲 力強く、はっきりと

ミッシャ・マイスキー(チェロ)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)

[録音]1984年1月7日〜10日、スイス、ラ・ショー・ド・フォン、サル・ド・ムジーク

[初出]
4122301(1985年)
[日本盤初出]
25PC5160、32CD210(1985年7月1日)

[オリジナル・レコーディング]
[レコーディング・プロデューサー]フォルカー・シュトラウス
[レコーディング・エンジニア]セース・ヘイコープ

[Super Audio CD プロデューサー]大間知基彰(エソテリック株式会社)
[Super Audio CD リマスタリング・エンジニア]杉本一家(JVC マスタリングセンター(代官山スタジオ)
[Super Audio CD オーサリング]藤田厚夫(有限会社エフ)
[解説]諸石幸生 小林利之
[企画・販売]エソテリック株式会社
[企画・協力]東京電化株式会社

■レーベル:DECCA
■音源提供:ユニバーサルミュージック合同会社
■ジャンル:室内楽曲

□DSD MASTERING/Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
□美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用


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