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ブラームス:ハンガリー舞曲集(全曲) (SACD/CD) ESSG-90200

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クラウディオ・アバド(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽 団

■発売日:2019年6月20日
■品番:ESSG-90200
■仕様:Super Audio CDハイブリッド
■JAN:4907034222759
■レーベル:DEUTSCHE GRAMMOPHON
■音源提供:ユニバーサルミュージック合同会社
■ジャンル:管弦楽曲

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ウィーン・フィル史上唯一の「ハンガリー舞曲集」全曲録音。


■アバド巨匠時代の到来
 惜しくも2014年1月20日、 80歳で亡くなったイタリアの名指揮者クラウディオ・アバド(1933-2014)。
 興味深いことにアバドの活動はほぼ10年単位で区切られています。例えば1970年代はミラノ・スカラ座とのオペラ上演で 、 1980年代前半はロンドン交響楽団とのコンサート活動でそれぞれ一時代を築き、1980年代後半にはウィーン国立歌劇場音楽監督として、ウィーンという街とのきずなを深め、 1990年代のベルリン・フィル時代へとつながります。その中で、1980年代は、50歳台をむかえたアバドがちょうど巨匠指揮者として大きく開花する時期で、録音面でもウィーン・フィルとのベートーヴェン交響曲全集、ヨーロッパ室内管とのシューベルト交響曲全集、シカゴ響とのチャイコフスキー交響曲全集を実現させ、オペラの全曲盤を複数制作するなど、その音楽作り の破格の充実ぶりが多数のディスクに刻み込まれています 。

■ウィーン・フィルとの貴重なハンガリー舞曲集全曲
 アバドのそうした「充実の80年代」の到来を高らかに告げたアルバムの一つが、この1982年にウィーン・フィルと録音されたブラームスのハンガリー舞曲集(全曲)といえるでしょう。これはもともと1983年のブラームスの生誕150年を記念して、ブラームス所縁のハンブルクに本社を置くドイツ・グラモフォンが威信をかけて企画した「ブラームス大全集」の1枚として発売されたもので、同全集中のシノーポリ チェコ・フィルの オーケストラ付き声楽曲集、ツィメルマンのピアノ・ソナタ全集、イェーナ北ドイツ放送合唱団による無伴奏合唱曲全集などと並ぶ新録音として同全集に投入される目玉のアルバムでもありました。長い歴史を誇るドイツ・グラモフォンにとってもオーケストラによるハンガリー舞曲全曲録音はこのアバド盤が初めてであり、またウィーン・フィルにとっても同曲集を全曲録音するのはこの時が初めてで(そして現在にいたるまで同フィル唯一の全曲盤)、二重の意味で貴重な録音でもありました 。

■LP時代から定評があったアバドのブラームス
 アバドによるブラームス録音は、これ以前のアナログLP時代に、4つのオーケストラを振り分けたブラームスの交響曲全集および管弦楽曲集(=ドイツ・グラモフォン創立75周年企画でもありました)があり、堅固な形式感を持ち、若々しい覇気と歌心に満ちた演奏が高く評価されていましたし、デッカにはニュー・フィルハーモニア管を振った秘曲「リナルド」と「運命の歌」もあり、ブラームスの音楽との相性の良さは証明済みでもありました(この後のベルリン・フィル時代に完成させた交響曲全集は当シリーズで 2018年12月に発売済み)。このハンガリー舞曲集 は、そうしたブラームスとの親和性をさらに強く感じさせる演奏であり、急激なテンポの変化や特定のフレーズの強調といったような、民族主義的・ジプシー的な変化球的要素をあまり持ち込まず、むしろストレートで純音楽的かつシンフォニックなアプローチを行なっているところが目(耳)を惹きます。オーケストレーションは、ブラームスも含め計7名の編曲者によっていますが、それぞれの差異を際立たせるのではなく、むしろ平均化したアプローチによって全体としての統一感を出しているのもこの演奏の特徴といえるでしょう。そしてそのアバドの音のキャ ンバスを豊かに彩っているのがウィーン・フィルの濃密なサウンドで、特にオーボエやクラリネットのチャーミングな木管の個性的な響きが印象に残ります 。

■最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現
 このハンガリー舞曲集がアバドのドイツ・グラモフォン録音の中で特異な位置を占めているのは、卓越した演奏であるということのほかに、 1950年代後半から英デッカがウィーン・フィルの録音にほぼ独占的に使用してきたゾフィエンザールで収録されていることが挙げられるでしょう。しかも(例えばバーンスタインのCBSへの「ファルスタッフ」や「ばらの騎士」のように)録音自体をデッカのスタッフに任せるのではなく、録音に当たってはアバドの盟友だったプロデューサーのライナー・ブロックが率いるドイツ・グラモフォンのチームがゾフィエンザールに乗り込んでいることでしょう(グラモフォンによるゾフィエンザール録音は、1983年2月のマゼール指揮の「ツァラトゥストラはかく語りき」「マクベス」があるくらいで、極めてまれ)。残響の多いムジークフェラインザールと違って、木質で温かみがありながらも明晰な響きで収録できるゾフィエンザールの特性を生かしつつ、デッカほどには各声部をクローズアップすることなくオーケストラ全体の響きに溶け込ませているのは、グラモフォンの名エンジニア、クラウス・ヒーマンならではのサウンド志向を貫いたものと申せましょう。それによってアバドの引き締まったスリムな音作りの魅力が生かされる形になっています。もともとが優秀なデジタル録音であり、リマスターは2005年に一度OIB化されたのみであったため、今回は初めてのDSDリマスタリングとなります。 今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、これまで同様、使用するマス ターテープの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。特にDSDマスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたESOTERICの最高級機材を投入、またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました 。

■「ハンガリー・ジプシーの土臭さとは無縁のシンフォニックな演奏」
 「ハンガリー・ジプシーの土臭さとは無縁のシンフォニックな演奏である。ほとんどの曲がブラームス以外の編曲なのにもかかわらず、アバドはあたかも交響曲の総譜を扱うような態度で正確に音化しているが、歌わせ方が自然なせいか、窮屈な感じは与えない。ウィーン・フィルが、やや速めなアバドのテンポ制定の中で多彩なニュアンスを付けているのも見逃せない。」

(『クラシック・レコード・ブックVOL.2 管弦楽曲編』、 1980年)



 「ブラームス自身によるピアノ連弾からの編曲のほか、計7人の手になるオーケストレーションによって全曲を演奏している。アバドはこれらのスタイルの差を恐らく意識的に狭めて全体の 統一を図っている。比較的誇張のないテンポ、巧妙なオーケストラの扱いと音楽面でも一貫したアプローチ、ウィーン・フィルの艶やかな響きと生気に満ちた表現が21曲に統一された美しさを与えている。」

(『クラシックCDカタログ89』、1989年)



 「アバドは効果目当てにテンポを派手に動かすことこそしないが、巧みな歌い口でこの親しみやすい曲集を存分に盛り上げており、美しさと厚みを兼ね備えたウィーン・フィルのサウンドも魅力的だ。編曲譜の差異を際立たせるのではなく、全曲に統一性を見出そうとしていた点も新鮮であった。」

(『クラシック不滅の名盤1000 』、 2007年)



 「50歳直前のアバドがウィーン・フィルと録音したこの全曲は、どの曲の洗練された演奏である。彼の現代的な感性で再度洗い直した新鮮さがこの演奏の魅力といえるだろう。ローカルな感触はなく、どの曲も都会的でスマートに進んでいく。むろんアバドの音楽的抑揚やテンポのメリハリある緩急の切り替えなどはどれも徹底しているが、一世代前の大指揮者が行ったような部分的デフォルメや極端なアゴーギクはここにはない。スコアに書かれた指示を忠実に守り、原典主義ともいえるようなストイックな中にこの曲の純粋な生命感を作り出している。このアバドの解釈に対するウィーン・フィルの鋭い反応も見事で、鮮やかなアンサンブルだ。」

(最新版クラシック名盤大全交響曲・管弦楽曲編(上)2015年)



 「戻りたいスタンダード、とう存在感を持つ盤。ブラームス本人による編曲を含め、ドヴォルザークやパーロウ、ガルなどによるオーソドックスな編曲で21曲全部を録音してくれたことももちろん、何しろ演奏が上質。オーケストラの響きだけで楽しめるが、民族舞曲風に寄せすぎず、しかし巧みな語り口で「演出」してゆく絶妙な中庸が全曲を 飽かさず聴かせるあたり、アバドのすごさをしみじみ感じる。」

(『最新版クラシック不滅の名盤1000』、 2018年)




[収録曲]
ヨハネス・ブラームス(1833-1897)
ハンガリー舞曲集
[1] 第1番 ト短調 アレグロ・モルト
[2] 第2番 ニ短調 アレグロ・ノン・アッサイーヴィヴァーチェ
[3] 第3番 へ長調 アレグレット
[4] 第4番 嬰へ短調 ポコ・ソステヌートーヴィヴァーチェ
[5] 第5番 ト短調 アレグローヴィヴァーチェ
[6] 第6番 ニ長調 ヴィヴァーチェ
[7] 第7番 へ長調 アレグレットーヴィーヴォ
[8] 第8番 イ短調 プレスト
[9] 第9番 ホ短調 アレグロ・マ・ノン・トロッポ
[10] 第10番 へ長調 プレスト
[11] 第11番 ニ短調 アンダンティーノ・グラツィオーソーヴィヴァーチェ
[12] 第12番 ニ短調 プレスト
[13] 第13番 ニ長調 アンダンティーノ・グラツィオーソーヴィヴァーチェ
[14] 第14番 ニ短調 ウン・ポコ・アンダンテ
[15] 第15番 変ロ長調 アレグレット・グラツィオーソ
[16] 第16番 へ長調 コン・モート
[17] 第17番 嬰へ短調 アンダンティーノーヴィヴァーチェ
[18] 第18番 ニ長調 モルト・ヴィヴァーチェ
[19] 第19番 ロ短調 アレグレット
[20] 第20番 ホ短調 ポコ・アレグレットーヴィヴァーチェ
[21] 第21番 ホ短調 ヴィヴァーチェ

オーケストラ編曲:ヨハネス・ブラームス(第1番、第3番、第10番)、ヨハン・アンドレアス・ハレン(第2番)、パウル・ユオン(第4番)、マルティン・シュメリング(第5番〜第7番)、ハンス・ガル(第8番、第9番)、アルバート・パーロウ(第11番〜第16番)、アントニン・ドヴォルザーク(第17番〜21番)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:クラウディオ・アバド

[録音]1982年4月5日、6月1日2日 、ウィーン、ゾフィエンザール

[初出]
2560100(1983年)
[日本盤初出]
ブラームス大全集1/交響曲・管弦楽曲の1枚として:00MG0505〜11(7枚組)(1983年6月25日)
単独:28MG0573(1983年9月1日)

[オリジナル・レコーディング]
[レコーディング・プロデューサー]ライナー・ブロック
[バランス・エンジニア]クラウス・ヒーマン
[エディティング・エンジニア]クリストファー・オールダー

[Super Audio CD プロデューサー]大間知基彰(エソテリック株式会社)
[Super Audio CD リマスタリング・エンジニア]杉本一家(JVCマスタリングセンター 代官山スタジオ)
[Super Audio CD オーサリング]藤田厚夫(有限会社エフ)
[解説]諸石幸生 小石忠男
[企画・販売]エソテリック株式会社
[企画・協力]東京電化株式会社

■レーベル:DEUTSCHE GRAMMOPHON
■音源提供:ユニバーサルミュージック合同会社
■ジャンル:管弦楽曲

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