カラーバリエーション ![]() カラヤンが生涯最後にたどり着いた究極のブルックナー解釈を刻み込んだ交響曲第8番。 ■ESOTERIC ならではのこだわりの Super Audio CD ハイブリッド・ソフト オリジナル・マスター・サウンドへの飽くことなきこだわりと、Super Audio CDハイブリッド化による圧倒的な音質向上で確固たる評価をいただいている ESOTERIC名盤復刻シリーズ。発売以来LP時代を通じて決定的名盤と評価され、CD時代になった現代にいたるまで、カタログから消えたことのない名盤を高音質マスターから DSDマスタリングし、世界初の Super Audio CD ハイブリッド化を数多く実現してきました。当シリーズでもカラヤンの録音はこれまで多数取り上げてまいりましたが、今回はカラヤン最晩年のデジタル録音から、ブルックナーの交響曲第8番を、世界初Super Audio CDハイブリッド化として発売いたします。カラヤンのブルックナーは、2012年に発売したベルリン・フィルとのブルックナー交響曲第7番以来、当シリーズとしては2枚目の Super Audio CD ハイブリッド化となります。 ■最晩年のカラヤンの音楽の深化 1980年代後半に入って、クラリネットのザビーネ・マイヤーの首席採用を巡る対立を発端に、終身芸術監督を務めていたベルリン・フィルとの関係がギクシャクしてしまった最晩年のカラヤンは、ウィーン・フィルとの関係をより深めるようになりました。持病の腰痛が悪化し、指揮台に高めの椅子を固定して、そこに腰かけて指揮せざるを得なくなり、トレードマークだった「目を閉じたまま、流麗な棒さばきでオーケストラを操る」颯爽とした指揮ぶりは見られなくなったものの、オーケストラを統率する強靭な精神力には微塵の衰えもなく、逆にその肉体の不自由さがカラヤンの音楽作りにそれまでになかったある種の奥行きと深みを加えるようになりました。 ■大作第8番の最後の録音 そうした時期にカラヤンがベルリン・フィルではなく、ウィーン・フィルと接近し、しかもブルックナーの交響曲の大作を取り上げたのは何かの符号だったのかもしれません。この交響曲第8番は、1988年11月に行われた、晩年のカラヤンが腐心していたテレモンディアル社による映像制作プロジェクトに由来するもので、ムジークフェラインザールで一部客を入れる形のセッションで収録されたものです(11月20日には同会場での特別演奏会も開催)。交響曲第8番はカラヤンがウィーン・フィルと初めて取り上げたブルックナーの交響曲であり(1947年10月の特別演奏会)、それ以来1989年まで、1959年10月の日本ツアー(同曲日本初演)、1979年のザンクト・フローリアン修道院での演奏(ユニテルによる映像収録)も含め、19回にわたって演奏しています。カラヤンは録音でもこの交響曲のパイオニア的役割を果たしており、ベルリン・フィルとの 1957 年録音は、同曲の最初期のステレオ録音でもありました(その後1975〜81年のベルリン・フィルとの全集で再録音しています)。こうしたことからも、この交響曲がカラヤンにとって重要なレパートリーの一つであったことは論を待ちませんが、このウィーン・フィルとの録音は、文字通りカラヤンのブルックナー解釈の集大成ともいうべき究極の演奏というべきものでしょう。深い光沢を感じさせるかのようなウィーン・フィルの濃密な響きを最大限に活かし、雄大なスケールで作品の構成感を描き分けつつ(第4楽章の各主題やエピソードの描き分けの明解さは見事)、細部までに血の通った表現を実現させています。カラヤンらしい流麗さは、特に第2楽章のトリオや第3楽章アダージョで際立ち、ブルックナーにありがちな低回するような晦渋さとは無縁。第4楽章コーダの息の長いクライマックスも、むしろそれまでのベルリン・フィルとの録音よりも淡々とすっきりとしているのもこのウィーン・フィル盤の特徴といえるでしょう。 ■最高の状態での Super Audio CD ハイブリッド化が実現 ムジークフェラインザールでの収録を手掛けたのは、1970年代のEMI録音に始まり、その後カラヤンの録音の専任プロデューサーとなったミシェル・グロッツと、ヴェテラン・エンジニア、ギュンター・ヘルマンスのコンビ。この時期のカラヤンの録音に共通する、左右の広がりと深い奥行きを備えた音場の中で、分厚い弦と豪壮な金管の響きを据えていくバランス作りですが、ベルリン・フィルでの収録と比べると、細部のパートがより明確に際立っているのが印象に残ります。収録時間が82分を超えるため初出は2枚組CDでしたが、2012年にはDG OriginalsでOriginal Image Bit Processingでのリマスタリングが行なわれた際に1枚ものとして発売されました。今回はそれ以来の、そして初めてのDSDリマスタリングとなります。今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、これまで同様、使用するマスターテープの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。特にDSDマスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整された ESOTERICの最高級機材を投入、また MEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。 ■『豊麗極まりない響きの美しさと多様な表現はブルックナー演奏の極致』 「このカラヤンの最晩年の録音が、ベルリン・フィルとの録音に比べると音や表現が柔軟に感じられるのは、カラヤンの変化なのか、それともオーケストラの持ち味によるものなのかよくわからないが、両者の個性の相乗効果がもたらした最上の演奏の一つであり、豊麗極まりない響きの美しさと多様な表現はブルックナー演奏の極致といえよう。」 (『ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 交響曲編』、1998年) 「カラヤン晩年の美しい、彼岸の花のようなブルックナーである。ここに聴く演奏はまさに円熟の極みにあったカラヤンの至芸であるが、しかしカラヤンという指揮者が最後まで実に端正であり続けたことを物語る凛々しい名演でもある。(・・・)カラヤンは最後まで作品の僕としての使命に徹しており、それがたとえようもない客観的調和と気品、さらには崇高さを醸し出している。そんなカラヤンの指揮にウィーン・フィルが誠意ある情熱で応えており、最初の低弦による動機から名演の予感が走る。頂点は第1楽章にあり、この峻厳な美しさの前にはすべてが色褪せるほどだ。ブルックナーを聴く喜びとカラヤンの偉大さを同時に知る究極の名演である。 (『クラシック不滅の名盤800』、1997年) 「カラヤンが最晩年に行った破格の名演である。最晩年といっても演奏は十分な力強さと生命力を誇っており、決して枯淡の境地に分け入ったものなどではない。偉大なる作品の全貌を余すところなく再現しようとした熱意が執念となって燃え盛っており、指揮台に立つカラヤンの美学を目の当たりにするかのようだ。しかも峻厳な高みに立つだけでなく、作品がその底に持つ豊かな歌謡性、情感のきめ細やかさといったものも十分に味わわせる心憎い配慮があり、演奏はあくまでも美しく、しなやかである。 (『クラシック不滅の名盤 1000』、2007年) 「老境のカラヤンの心的奥深さが入り混ざったこれまでにない仕上がりとなっている。作曲者と同じオーストリア人としての共感が全てのフレーズに反映されて、一呼吸深いカラヤンのレガートが随所で聴きとれる。ウィーン・フィルもその表現を十分に心得た豊穣な響きで応えている。」 (『クラシック名盤大全 交響曲・管弦楽曲編上』、2015年) [収録曲] ブルックナー 交響曲第8番ハ短調 WAB108 [ハース版] [1] 第1楽章 アレグロ・モデラート [2] 第2楽章 スケルツォ、アレグロ・モデラート〜トリオ、ゆっくりと [3] 第3楽章 アダージョ、荘重にゆっくりと、しかし引きずらないように [4] 第4楽章 フィナーレ、荘重に、速くなく ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 [録音]1988年11月、ウィーン、ムジークフェラインザール [初出]427 611-2(1989年) [日本盤初出]F00G20438〜9 (1989年8月25日) [オリジナル・レコーディング] [プロデューサー]ギュンター・ブレースト [ディレクター]ミシェル・グロッツ [レコーディング・エンジニア]ギュンター・ヘルマンス [Super Audio CD プロデューサー]大間知基彰(エソテリック株式会社) [Super Audio CD リマスタリング・エンジニア]杉本一家(JVC マスタリングセンター(代官山スタジオ)) [Super Audio CD オーサリング]藤田厚夫(有限会社エフ) [解説]諸石幸生 ジョン・ウォーラック(訳・寺西基之) [企画・販売]エソテリック株式会社 [企画・協力]東京電化株式会社 おすすめ商品
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