Fascination 99（プリアンプ） [完成品] 【受注生産品・通常納期約200日】 ※メーカー直送

粒立ちの良い鮮烈な音を持つ超小型・管球式プリアンプ。
低域／高域独立のトーンコントロールなど機能を凝縮

●コンセプト
　Fascination99は是枝重治氏が『管球王国』99号の「マイ・ハンディクラフト」企画で発表した超小型・管球式プリアンプです。トランスレス用のビーム5極管である松下電器製50C5のプッシュプルでクラシックカメラのような凝縮美を目指した小型パワーアンプFascination97と対をなすプリアンプとして製作され、幅20cm／奥行き18cmの0.8mm厚ステンレス製シャーシに機能が凝縮されています。

●使用パーツ
　低域／高域独立のトーンコントロール（TC）回路とフォノイコライザー（EQ）回路を装備。TC回路はフィリップスECG製12AT7、EQ回路はレイセオン5755と、いずれもヴィンテージ真空管で構成します。5755はWE420Aと同等管で、低雑音の選別球を採用しています。フォノEQ回路は高出力のMCカートリッジと昇圧トランスの併用を想定した設計。ラインレベルの利得は9.5dBです。250kΩB型ボリュウムを採用するレベル調整は右に回しきった状態が通常位置で、L／R独立搭載によってバランス調整の機能を果たします。電源部は半導体リップルフィルターと大容量電解コンデンサーを採用してコンパクトに設計され、十分なS／N比を確保しています。

●音質について
　Fascination99とパワーアンプFascination97の組合せは、モニタースピーカーのB＆W800D3から輝かしく心に響く音を聴かせます。粒立ちの良い鮮烈な音を持ち、弦楽器を弦の震えまで見えるように、ヴォーカルは微笑むように鮮やかに描きます。倍音成分が華麗に浮遊するような空間描写が魅力です。

フロントパネルのノブは左からPHONO1系統を含む3系統の入力切替え、ボリュウム、L／Rch独立のレベル調整（−6dB）、低域（100Hz：−5dB〜＋5dB）／高域（10kHz：−9dB〜＋6.5dB）独立のトーンコントロールです。レベル調整以外の4基のノブは、業務機ニーヴ（NEVE）のような形状のものを採用します。

リアパネル。左端がACインレット。入出力端子はいずれもRCAアンバランスで、左からLINE1系統とフォノイコライザーDIRECT1系統の出力、2系統のLINE入力とPHONO1系統を装備します。右端がアース端子です。

内部はスタンドオフ端子を使った、立体的で稠密な配線が行なわれます。増幅回路部はアルミ板に構成します。

本機と対をなす超小型パワーアンプFascination97（『管球王国』97号掲載）です。松下電器製50C5のプッシュプルで出力は3W。現代の大型スピーカーとの組合せでも実体感のある自然な音を聴かせるアンプです。背後は是枝氏の愛聴盤CD『R.シュトラウス：歌劇〈アラベラ〉』ヨーゼフ・カイルベルト指揮、ウィーン国立歌劇場合唱団（Deutsche Grammophon 00289 477 5625）で、アンプの小ささが見て取れます。